三野農園

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人、土地、食材の力をひきだすレストラン。

料理人が教えてくれた西洋野菜。

「リーキっていう太いネギみたいなの試しに作ってみるんだわ」
私がここ真狩村に「マッカリーナ」というフレンチレストランができたことを知ったのはこんなことを親から言われてからだった。当時は学生であったため、地元を高校から5年間離れ勉強と遊びに夢中だった私にはそれほど真狩村の情報は気にしていなく、卒業を迎えいよいよ実家に戻ってくる春に知った。
「真狩温泉の近くにレストランができて、そこの料理人がリーキ作れたら面白いって。日本じゃ作ってないんだとよ。」記憶は定かじゃないが、そんなようなことを言って意気込んでた親父がいた。聞いたことも見たこともない野菜。インターネットで調べると輸入物が1本1,000円近くで売られている。「はっ?なにこれ?めっちゃ儲かるじゃん」若かりし私の単純な第一印象である。

そんなイメージを持ちつつ、実際に始まったリーキ栽培。始めてみる野菜だけにその成長っぷりには興味津々だったが、いざ収穫してみると見本で見せられたベルギー産リーキには程遠いものがあった。「物」ができなければ売り込むこともできない。ここから試行錯誤のリーキ栽培が数年続いた。当時は興味を持った農家が数軒トライしていたようだが利益にならないどころか手間がかかるということも手伝ってやめていった。
品種、時期、肥培管理、豪雪地帯真狩村では1年に一回限りしか試せない、畑の隅っこ位の量では本気にならないということで10~20a分くらいを捨てる覚悟でやっていたように思う。
マッカリーナの菅谷シェフにその年の出来を見てもらいながら続け5年目か6年目くらいだろうか。これならいけるっていうのに出会ったのは。太さに加えこだわり続けた軟白部。「ベルギー越えたね、オレ」って思った。シェフも「この肉厚な感じなら大丈夫」と太鼓判。我が家もようやく本腰を入れて作れるようになっていた。

普通のスーパーでは見ることのない、西洋ネギのリーキ。

地元で野菜をつくり続ける役割

今では三野農園のシンボル的な存在のリーキ。いちおし野菜です。

レストランのむかえには、宿泊施設もあります。

そもそも、当時は親父と菅谷シェフの交流はあったのだが私自身はそれを親父から聞かされるだけで、「フレンチ」という世界がどういうものなのか、イメージとしては「高級」が先行してしまい、リーキを鍋かジンギスカンでしか食べたことがなかった自分には「マッカリーナ」に距離を感じていたように思う。

真狩村に「マッカリーナ」ができてから何年後になるだろうか、実際にリーキがどうやって料理として出されるのか一度この目で見てみたいと、妻と共に意を決してディナーを食べに行った。ずらりと並んだフォークにナイフ。ガラス越しにはシェフたちが真剣なまなざしで調理している。周りには明らかに自分たちとは空気の違う小洒落た客がいる。
緊張していた。声にはならない声でひそひそ妻と会話。「これどっから使うの?」高校時代に習ったテーブルマナーなど覚えているはずもない。

すらっと背の高い男の人が紳士に料理を運んできた。華やかに盛り付けられた前菜に度肝を抜かれたのを鮮明に覚えている。自分の知らない世界観に一気に引き込まれた。当時はそれほど野菜を意識していなかった私には衝撃的だった。緊張感たっぷりな私たちから笑顔がこぼれる。「野菜ウマっ」もう周りの空気はどうでもよくなっていた。
適度な間隔で料理が運ばれ、いよいよリーキだ。 自分の調べた情報ではスープに使われることの多い食材。が、しかし皿にはリーキがゴロンと焼かれて乗せられてきた。いつも見ているずっしり感のあるぶっといネギがしっかりと中まで火が通り、トロッとしている。ジンギスカンで食べるのとはわけが違った。
それまでの苦悩の連続が走馬灯のように頭をよぎる。折れず、腐らずに続けてよかったと素直に思えた一瞬だった。「野菜は面白い」この頃からだろうか、野菜を意識するようになったのは。一流のシェフが調理したくなる野菜、そしてその先の食べてくれる人をワクワクさせるような野菜。自分が料理を出された時のほほが緩むあの一瞬の感覚を大切にしたい。そこに自分の野菜を使われたらどれだけ幸せだろう。そんな風に思った。

この「マッカリーナ」は宿泊施設を備えるオーベルジュ。全国各地からお客さんが来ていて、毎年来るリピーターも多いという。2008年に行われた洞爺湖サミットでは各国の首脳夫人がここへ食事をしに来た。村は大騒ぎだった。
マッカリーナを訪ねて、様々な人がここ真狩村にやってくる。生まれ育った地元の良さって長くいると忘れがちになるが、こんなレストランがこの地を選んでくれたってことを心から誇りに思う。自然、空気、水、そして野菜。料理人が本気になってくれるこの環境を守り続けたいと思う。

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